文化会館について・その3~個別所有からシェアへ~
前回までのブログで、文化会館の現状とその対策として考えられることについて述べてきました。
今回は私の考えを少しお話ししたいと思います。
〇魅力と課題
加茂文化会館の最大の魅力はオーケストラピットを備えた大ホールです。
これは県央地域でも最高の施設と言えるでしょう。
1,000人を超える座席を持ち、コンサートやオペラ、大きな舞台発表も行われてきました。
その音響も好評で、長年にわたりつづくバレエの舞台発表など、近隣市町村の方からもご利用いただいています。
一方で年間の入館者数は4万人前後。
経営面でみると、平成30年度における歳出は5,250万円、歳入は340万円です。
5,000万円の歳出超過ですので財政的に大きな負担となっていると言えます。
こうした状況下において噴出した今回の休館問題なだけに、無条件で改修しようという流れにならないのも当然といえば当然でしょう。
〇存続を図る手段として
・そのまま改修は難しい
今の段階で財政的な面から考えると、残念ながら現状と同等の設備を入れて大規模改修するのはかなり難しいと思います。
そこで挙げられるのは、複合施設にする案と音響・照明等設備は後回しで安全面を優先する改修案です。
・複合施設化か安全面優先策か
これについて私は、安全面を優先して改修を行う策をとるべきと思います。
例えば、複合施設化することにより文化会館の維持を行うことも可能ですが、この場合、敷地内に別の施設を集約したものができるとなれば、現在の最大の魅力である大規模なホールは維持できないでしょう。
まずは耐震化などの安全対策を施したうえで開館し、照明や音響施設については財政状況を見ながら改修するのがよいと思います。
〇運営方法の検討が必須
さらに重要なのは、改修後の施設使用についてどうしていくかです。
年間4万人が入館しているとはいえ、より多くの方からご使用いただけるよう努め、運営改善を図るべきでしょう。
・誰もが使いやすい施設へ
例えば、現在は午前・午後・夜間の3区分で貸し出ししていますが、これを1時間単位にすることで学生などでも利用しやすくしてはいかがでしょうか。
また、使用料についても市の施設のため市外の方の場合は正規の金額に50%加算された金額になっています。これを市内外問わず同額にすれば、より多くの方からご使用いただけるものと思います。
これらの提案は、実際に文化会館を使用している住民の方々からもお聞きしているものです。
〇これからの公共施設の在り方
今回、加茂文化会館の休館をテーマにブログを綴ってきました。
この公共施設の老朽化という問題は、加茂市独自のものではありません。
これから多くの自治体で文化会館や図書館、プール、グラウンド等さまざまな大規模施設の維持管理が問題になるでしょう。
しかし少子高齢化、人口減少などにより今後は地方自治体の財政力は弱まっていくものと思われ、すべてを今まで通りにすることはおそらく不可能です。
それでも各自治体は地域住民の健康で文化的な生活を守り続けなければなりません。
その時に、いったいどうしたらよいのか
・個別所有からシェアへ
私はひとつのまちが全ての施設を独自に持つ考えから、複数のまちが共有する考えに移行する必要があると考えています。
例えば、今回の加茂文化会館は加茂市単独の施設から県央全域の共有施設として新たに「県央文化会館」として運営するというような考えです。
これにより単独では維持していけない施設でも、県央全体で管理することで設備はもちろん、多くの方が使用することで文化活動もより広がることと思います。
・シェアは今も行われている
これはそんなに難しいことではなく、実際にある例として加茂市と田上町で組合を作って消防署とごみ焼却場などが運営されています。
また、組合を作らずとも三条市にある応急診療所のように、三条市の施設ではあるが関係6市町村が負担金を供出する方法もあります。(加茂市もようやく負担金を支払うことになりました。)
私は、行政側には将来に向けた相互協力の体制を作っていただき、住民生活の充実と自治体の自律を担保しながら公共施設を管理運営する策について、一自治体にこだわらず柔軟に検討していただきたく、これからも提案してまいりたいと思います。