加茂病院と市民との関わり
9月2日、県立加茂病院の竣工記念式典が行われました。
花角英世県知事も出席し、待望の新病院棟の完成です。
〇地域に密着した病院
花角知事はあいさつで、地域に密着した医療と健康維持増進に寄与してほしいとおっしゃいました。
確かにいくつかの点で地域に有用な整備がされています。
・緩和ケア病棟
この病院の大きな特徴である緩和ケア病棟(30床)は、身体的・精神的に苦痛を感じている患者さんやご家族のつらさを和らげる、ある意味で最も大事な役割を担います。
・多目的ホールの開設
式典が行われた場所は1階の多目的ホール。
夜間、休日等の利用を想定し、患者・スタッフのエリアと交差しない場所に独立して配置されています。
このホールで地域医療関係者等の研修・情報共有はもちろん、市民を対象とした健康増進事業も開催できるでしょう。
・かもドックの活用と周知
加茂病院では以前から人間ドックを受けることができましたが、新たな施設でわかりやすく周知されることで、より多くの方から利用していただけることと思います。
〇現在抱える課題は?
花角知事は同じあいさつの中で、病院会計の厳しさについても言及しました。
徹底的な経営改善に取り組むとともに、連携して持続可能な地域医療の体制確保に努めたいとのこと。
病院全体で168床(一般88床、療養50床、緩和ケア30床)の新病院、当初予定にあった産婦人科は常勤医確保ができず外来のみ、小児科と脳神経外科は休診となっています。
また、加茂・田上地域における救急搬送にかかる平均時間は約59分(今年1~8月において)と、県平均に比べ10分以上長くなっていますが、加茂病院が新しくなったことがどれだけ改善につながるかは未知数。
〇加茂病院の必要性について考えよう
こうした環境を考えると、新病院棟が完成したとはいえ、これにより市民生活の安心・安全が担保されたとは言い切れない状況にあります。
私たち市民はこれから加茂病院について、病気の際に受診する病院としてはもちろんのこと、自らの健康維持に役立つ地域の機関、さらには県央地域全体の大切な医療資源のひとつと捉えて、利用しながら広くその必要性を訴えていく必要があると思っています。