市民バスについて(これからの加茂のバス事業)
前回まで、加茂市の市民バス事業の現状と、バスとデマンドタクシーの複合事業を行っている加須市の事業を説明しました。
今回は二つを比較しながら、これからの加茂市の事業について考えてみたいと思います。
〇加茂市と加須市、比較してみると
年間利用者数は、
加茂市は81,633人。
加須市は3事業合計で63,429人。
加茂市の方が利用者数は18,204人多くなっています。
次に費用の面では、
支出
加茂市 1億2,122万円
加須市 9,206万円
赤字額の比較では
861万円だけ加茂市の赤字額が多くなっています。
〇数字だけでは事業評価はできない
利用者数は加茂市の方が18,204人多い。
しかし加茂市は加須市よりも861万円赤字額が多い。
加須市では目の上に上がることのない事業が、加茂市においては大きな課題となっている。
利用者数が多いにもかかわらず事業として改善を求められている加茂市。
これはもしかすると、バスは無駄が多くて市民の中で事業を必要とする方に効率的に届いていないという印象があるからではないでしょうか。
〇公共事業は目的が明確であるべき
交通手段を持たない市民にとって大切なバス事業ですが、その非効率な状況をみれば誰もが疑問を感じるでしょう。
心掛けるべきはまず、なぜその事業が必要なのかが誰の目にも明らかになること。
そのうえで必要な時に必要な規模のサービスを提供できれば、それは赤字ではなく経費として考えられます。
そしてこれこそが公共の福祉サービスの基本なのだと私は考えています。
特に今の加茂市においては、必要なときに使うため日常的に設置するのではなく、必要なときに利用できる環境を整備しておく。
空っぽといわれるバスを常時運行するよりも、バスを効率的に運行しながら要望に合わせたデマンドタクシーで対応できる環境整備を進めることこそが、厳しいと言われる市政において市民から理解される事業なのではないでしょうか。
ともすれば民業圧迫といわれかねない中で、加須市ではデマンド型乗合タクシーの委託業者として、市内の民間タクシー会社が活躍しています。
これにより安定的な企業経営が成り立つ結果となり共存が図られているとのことでした。
加茂市でも十分に可能な要素だと思います。
〇加茂市の公共交通はどこへ向かうべき?
まずは市民に事業の目的を明確にして、バス事業を見直したりデマンド型タクシー事業を導入したりと、その効率的な改善を図ることで市民に理解され必要とされる事業へと変わるべきだと思います。
こうした視察研修を参考に、今後さらなる提案につなげてまいります。