市民バスについて(加須市での研修から)
その費用対効果について、今後の検討課題といわれている市民バス事業。
前回は加茂市の現状について、その概略をお伝えしました。
市民の移動手段の確保はいくつかの方法が考えられます。
最近は路線で運行する市民バスよりも、予約して運行するデマンドタクシーが効率的だという声も多いことから、私は10月にバスとデマンドタクシーの複合事業を行っている埼玉県加須市で同事業を視察研修してまいりました。
今回は加須市がどのように事業を展開しているのか紹介いたします。
〇3つの運行方法を複合的に運営する加須市
加須市では、
・シャトルバス
・循環バス
・デマンド型乗合タクシー
の3つの交通手段を運行しています。
それぞれの特徴は、
・シャトルバス(上の図の赤い路線)
北と南に長い市内をタテに往復
どこから乗ってもどこで降りても200円
年間利用者数は5,364人
・循環バス(上の図の真ん中あたり、鉄道に沿った青い路線)
東武線の加須駅を起点に、東循環コースと西循環コースの2路線を1便が8の字を描くように運行
どこから乗ってもどこで降りても100円
年間利用者数は22,511人
・デマンド型乗合タクシー
利用登録が必要(登録者数は14,764人)
受付は7時から16時30分まで
市内を北・中・南の3エリアに分け、10人乗りのワンボックス車両により運行
日曜日と年末年始は運休日
希望する便の30分前までに予約、どこからどこまで行きたいかを伝える
自分のエリア外へは別エリアの乗合タクシーに乗り換える
ただし市役所・病院・ショッピングセンターなど「エリア外乗り入れポイント」については直接行くことができる
利用1回につき300円
年間利用者数は35,554人
〇支出はいくら?
委託料(予約センター事業)…1,233万円
運行経費…7,971万円
その他…2万円
支出合計 9,206万円
〇収入は?
現金・回数券など乗車賃…1,283万円
特別交付税…5,700万円
国庫補助金…319万円
収入合計 7,302万円
〇赤字額はいくら?
収入合計から支出合計を差し引くと、
1,904万円の赤字となりました。
今回は、複合的にバス事業を展開する加須市の取り組みを紹介しました。
次回のブログでは私たちの加茂市と研修した加須市の取り組みを数字で比較しながら、これからの事業について考えてみたいと思います。